赤ちゃんの誕生は人生でもっとも幸せな瞬間です。そんなうれしい気持ちと裏腹に少しだけ不安になるのが、子育てにかかる費用のことではないでしょうか? 子どもの成長に合わせてどんなお金がいくらかかるかを事前に把握して、計画的に資金準備をすることが大切です。
●出産の費用は平均50.5万円もかかりますが・・・
では、妊娠・出産でどの程度お金がかかるのでしょうか? 正常分娩時の平均的な出産費用は平均50.5万円。ただし、健康保険加入者であれば通常42万円は「出産育児一時金」として国から給付金がもらえますから、実質8万円強の負担となります。「妊婦健診費助成」で妊娠中の健診費はほぼ無料ですし、工夫次第で乗り切れる金額ではないでしょうか? 下表「妊娠出産育児の助成金と補助金」のように、妊娠・出産を応援する制度が非常に充実しています。つまり、妊娠、出産から赤ちゃんの子育て時期の0〜2歳はそれほど大きな出費はありません。逆に言うとこの時期がその後にやってくる大きな出費に備える「貯め時」なのです。
正常分娩時の出産費用
・妊婦合計負担額の平均値(病院、診療所、助産所の合計)
合 計 | 平均値 |
---|---|
妊婦合計負担額 | 505,759円 |
・各項目ごとの平均値
項目 | 平均値 |
---|---|
入院料 | 112,726円 |
室料差額 | 16,580円 |
分娩料 | 254,180円 |
新生児管理保育料 | 50,621円 |
検査・薬剤料 | 13,124円 |
処置・手当料 | 14,563円 |
産科医療補償制度 | 15,881円 |
その他 | 28,085円 |
※出典:公益社団法人国民健康保険中央会「正常分娩分の平均的な出産費用について(平成28年度)」
妊娠出産育児の助成金と補助金
助成金・ 補助金制度 |
支給額など | 支給元 |
---|---|---|
出産育児一時金 | 子どもひとりにつき 42万円 | 加入している健康保険組合 |
出産手当金 | 98日間、給与の3分の2 | 加入している健康保険組合 |
高額療養費支給 | 1カ月の医療費が自己負担限度額 を超えた額 |
加入している健康保険組合 |
妊婦健診費助成 | 14回分の妊娠検診費の一部 | お住まいの自治体 |
児童手当 | 【月額】 ・0〜3歳未満:15,000円 ・3歳〜小学校修了まで 10,000円(第一子・第二子) 15,000円(第三子以降) ・中学生:一律10,000円 |
お住まいの自治体 |
医療費控除 | 所得控除 | 所轄の税務署 |
育児休業給付金 | 休業開始時賃金日額×50% ×給付日数 |
事業所の所在地を管轄する公共職業安定所 (ハローワーク) |
注意:お住まいの自治体や加入している健康保険組合などにより支給額や対象期間、支給条件などが異なりますのでご注意ください。
※当社調べ
●幼稚園で突然出費大に。小学校は高学年で塾代にお金がかかることも

突然まとまったお金が必要になるのは子どもが3歳になって幼稚園に通い始める時です。公立幼稚園では月2万円弱の保育料で済む場合もありますが、私立の幼稚園では月4万円以上(3年間で145万円)かかることも少なくありません。この時期に家計費から園費を賄えないからと、貯蓄を取り崩すようではこの後が心配。おけいこ事をあれこれ始める時期でもあり、家計負担が一気に増す時期なので要注意です。 小学校は公立に入学すれば、教育費が月2.7万円程度となりますが、もちろん、私立に入学する場合は桁違いの費用(6年間で917万円、月12.7万円)がかかるので、よくよく考えて慎重に選択する必要があります。ご注意いただきたいのは、公立でも多くの子どもが4年生前後から塾に通い始めるなど、校外学習費がかかり始めることです。特に5年生、6年生のときは年間100万円といった校外学習費がかかる場合もあります。この時期にお金を使い切ることのないよう、気を付ける必要があるでしょう。
教育にかかるお金(幼稚園・小学校)
幼稚園(3年間) | 小学校(6年間) | |
---|---|---|
公立の場合 | 70万円 | 193万円 |
私立の場合 | 145万円 | 917万円 |
※出典:文部科学省「子供の学習費調査」(平成28年度)
●公立でも私立でもそれなりにお金がかかる中学、高校、大学の費用
中学の教育費は公立と比べて私立が2倍以上となっていますが、公立の場合、高校受験が控えているので、場合によっては校外学習費が大きな負担になってくることもあります。高校に進学すると、公立でも私立でも中学よりも教育費が少しだけ下がります。
最後に、何と言っても大きな負担となるのは大学の4年間です。国立(自宅)の場合でも、4年間で243万円、月5万円以上も必要ですから家計から捻出するのは大変ですよね?
私立の場合、431万円と月9万円もかかる計算ですからもっと大変です。もしも、自宅外の場合は、4年間で600万円超かかることも珍しくありません。
教育にかかるお金(中学・高校・大学)
中学校(3年間) | 高校(3年間) | 大学(4年間) | |
---|---|---|---|
公立の場合 (大学のみ国立) |
144万円 | 135万円 | 461万円(自宅外) 243万円(自宅) |
私立の場合 | 398万円 | 312万円 | 664万円(自宅外) 431万円(自宅) |
※出典:中学校〜高校/文部科学省「子供の学習費調査」(平成28年度)、大学/独立行政法人日本学生支援機構「学生生活調査(平成26年度)」

●独立まで子育てにかかる費用の総額は
このように見ていくと、幼稚園から大学(自宅)まですべて公立・大学は国立(自宅)でも785万円、すべて私立・大学は私立(自宅)だと2206万円の費用がかかることになります。私立の小・中学校の授業料補助や高校の授業料無償化などの追い風はありますが、5年後・10年後には制度が変わっているかもしれません。赤ちゃんが生まれたらすぐに(あるいは生まれる前から)計画的に教育資金の準備を始めましょう。また、もしもの時に備えて、ご家族の医療保険や生命保険も忘れずに見直してください。
教育コース別の教育費(幼稚園〜大学の例)
幼稚園 | 小学校 | 中学校 | 高 校 | 大 学 | 教育費 |
---|---|---|---|---|---|
公立 | 公立 | 公立 | 公立 | 国立(自宅) | 785万円 |
公立 | 公立 | 公立 | 公立 | 国立(自宅外) | 1,003万円 |
公立 | 公立 | 公立 | 公立 | 私立(自宅) | 973万円 |
公立 | 公立 | 公立 | 公立 | 私立(自宅外) | 1206万円 |
公立 | 公立 | 公立 | 私立 | 私立(自宅) | 1150万円 |
公立 | 公立 | 公立 | 私立 | 私立(自宅外) | 1383万円 |
公立 | 公立 | 私立 | 私立 | 私立(自宅) | 1404万円 |
公立 | 公立 | 私立 | 私立 | 私立(自宅外) | 1637万円 |
私立 | 私立 | 私立 | 私立 | 私立(自宅) | 2203万円 |
私立 | 私立 | 私立 | 私立 | 私立(自宅外) | 2436万円 |
※出典:幼稚園〜高校/文部科学省「子供の学習費調査」(平成28年度)、大学/独立行政法人日本学生支援機構「学生生活調査」(平成26年度)