2019/6/2

わたしがもっと素敵になる、くらしとお金のヒント
  第7話 今、密かに注目されているリカレント教育ってどういうもの?

わたしがもっと素敵になる、くらしとお金のヒント
第7話 今、密かに注目されているリカレント教育ってどういうもの?

(写真=smolae/shutterstock.com)

人生100年時代と言われる今、「仕事スキルを獲得して、キャリアアップを目指したい」と考えている人も多いのではないでしょうか。そんな中、「社会人の学び直し」を意味する「リカレント教育」が注目を集めています。今回は、リカレント教育の内容と、実際に行われている教育機関の例を紹介しましょう。

■最近、リカレント教育が話題となっている背景

政府が現在推し進めている「リカレント教育」。その背景には、終身雇用制度から転職が一般的になってきた背景があります。変化の激しいビジネス環境で生産性を上げるためには、就職した後も必要に応じて最新の知識やスキルを学び直し、再び職場に戻って(あるいは起業して)実際のビジネスに生かすという、教育とビジネスの場を自由に行き来するキャリアプランが理想的とされているのです。

この流れを受け、リカレント教育を後押しするための制度も整えられています。2014年に、厚生労働省は「教育訓練給付金」制度を拡充し、「専門実践教育訓練給付金」制度を設けました。厚生労働大臣が指定する専門的な講座の受講者で、一定の要件を満たす場合は、受講費用の最大50%(年間上限40万円)が最大3年間支給されます。なお、修了後1年以内に雇用保険の被保険者として再就職した場合は、さらに受講費用の20%が追加支給されます。

目標に向かって駆け上がる

■リカレント教育を受ける3つの効果

内閣府は、30歳以上の男女を対象に、自己啓発や学び直しを行った社会人と、行わなかった社会人を比較した調査結果を公表しています。その結果から、主に次のような効果があると分析されています。

●効果1:年収アップ

自己啓発を行った人と行わなかった人の年収の差額を1〜3年後に比較したところ、1年後はあまり差がなかったものの、2年後には約10万円、3年後には約16万円もの差が生まれていました。年収アップ効果はすぐには現れませんが、長期的には大きな差がつくことが分かります。

●効果2:非就業者の就業確率アップ

仕事に就いていなかった人が自己啓発を行った場合、1年後には就職できる確率が11.1ポイント増加しています。年収の場合と異なり、就業確率には自己啓発の効果がすぐに現れることが分かります。

●効果3:専門性の高い職業への就業確率アップ

専門性の高い職業に就ける確率も、1年後には2.8ポイント、2年後には3.7ポイント、3年後には2.4ポイント、それぞれ増加していました。リカレント教育が、高い知識やスキルを要求される職業への転職に役立つことが分かります。

■女性のためのリカレント教育を行っている大学3選

図書館

キャリアアップのために、リカレント教育は非常に有効な様子。全国の大学でも社会人向けカリキュラムを充実させる動きが広がっています。「いったいどこの大学で受講できるの?」と疑問を持った人のために、給付金対象の女性向けリカレント教育を実施している代表的な国内大学と、具体的内容を紹介しましょう。

●日本女子大学「リカレント教育課程」

4年制大学卒業後に一度は就職したものの、結婚や出産、育児などをきっかけに離職した女性を対象としたカリキュラムです。1年間(2学期制)のリカレント教育を実施し、修了後は再就職先を斡旋しています。

内容は、企業会計や初級簿記などの基礎科目に加え、ビジネス英語やITリテラシーなどのスキルを磨く講座、「社会保険労務士」などの資格準備講座など、ビジネス性の高いものに特化しています。受講生の平均年齢は40.1歳。全体の56.9%が40代で、主婦や非正社員の女性が大半なのだそう。受講料は、前期・後期で各15万円(合計30万円)です。

●明治大学「履修証明プログラム 女性のためのスマートキャリアプログラム」

女性の仕事復帰やキャリアアップを目的としたプログラム。マーケティングやマネジメントなど、実践的に役に立つ講座がラインナップされています。講師陣に女性の経営者も名を連ねるなど、新しいネットワーク作りにも役に立ちそうな課程で、昼間コースと夜間・土曜主コースが用意されています。

昼間コースは10:30〜14:30の時間帯で、離職して家庭にはいった女性が仕事に復帰するきっかけとなることを目的としたプログラム。夜間・土曜主コースはキャリアアップやリーダー育成を目的としていて、現在仕事に就いている人でも通えるようになっています。就職のサポートや採用企業合同セミナーも行っていて、受講料は6ヶ月で12万8000円。

●関西学院大学「ハッピーキャリアプログラム 女性の仕事復帰・起業コース」

育児で休業している、再就職を目指している、起業を考えている女性のためのコース。必修科目キャリアデザインやリーダーシップに関する講座で、選択科目でIT基礎やビジネス英語、マーケティング・マネジメントや経営戦略などを学ぶことができます。また、就職セミナーやキャリアカウンセリング、インターンシップ先の紹介などを受けられる「ハッピーサポート」も提供。

1期〜10期生の課程終了後の就業者比率は91.8%と高く、2019年で12年目となるリカレント教育の先駆け的存在です。費用は科目選択数によって異なりますが、専門実践教育訓練給付金を受給することができる12単位を取得+ハッピーサポート受講で24万6900円〜。

なお、性別を問わずリカレント教育を実施している大学も多数ございます。
例) 筑波大学 東京キャンパス社会人大学院(夜間)、早稲田大学、など

■リカレント教育は長期のキャリア構築に不可欠

人生100年時代を迎えた今、積極的にキャリアを構築していく姿勢が求められています。リカレント教育で得られる知識や理論や実践的スキルは、「なりたい自分」をサポートしてくれるはずです。これからのキャリアパスに悩みも抱えている人は、学び直しをしてみるのもいいかもしれませんね!


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