2020/1/19

わたしがもっと素敵になる、くらしとお金のヒント
  第21話 働けなくなったらピンチ!
       年収400万円、ひとりぐらしの生活シミュレーション

わたしがもっと素敵になる、くらしとお金のヒント
第21話 働けなくなったらピンチ! 年収400万円、ひとりぐらしの生活シミュレーション

(写真=PR Image Factory/Shutterstock.com)

ある日突然、病気やケガなどで働けなくなることもあります。その場合、実際にいくらあれば今の生活をキープできるのか、正確には把握していない人もいるのでは? 年収400万円のひとり暮らしの女性が働けなくなった場合に一体いくら必要なのか、どのような公的支援があるのかなど、詳しくシミュレーションしていきます。

■年収400万円の40代女性……1ヵ月に必要な生活費は?

衣食住の生活費

年収400万円でひとり暮らしをしている40代女性の場合、1ヵ月の手取り額や生活費の内訳は、おおよそ以下のようになります。

・1ヵ月あたりの手取り額
まず年収400万円の場合、所得税などを引いたあとの実際の手取り額は319万円ほどとされています。1ヵ月あたりに換算すると319万円÷12で約26万6,000円です。

・1ヵ月あたりの生活費
総務省統計局の調査によると、40歳前後でひとり暮らしをする女性の生活費の平均は約17万6,000円とされています。その主な内訳は次のようになります。

【生活費の内訳】
食費 3万4,000円
交通・通信費 2万8,000円
住居費 2万4,000円
教養娯楽費 1万8,000円
水道・光熱費 1万2,000円
衣料費 9,000円
保健医療費 8,000円
家具・消耗品費 5,000円
その他支出 3万7,000円(交際費、諸雑費など)
(総務省統計局2018年「家計調査」より)

この金額はあくまで全国統計の結果なので、生活状況や居住地域によって違ってきます。たとえば都内でワンルームの賃貸に住んでいる場合などは、住居費はさらに数万円程度高くなるでしょう。

■年収400万円でいざというときに受けられる公的支援の額は?

病気やケガなどで思いがけず仕事ができなくなってしまった場合は、公的支援を受けることができます。年収400万円の場合、どの程度の支援が受けられるのかを見てみましょう。

●病気やケガで仕事を休む場合【傷病手当金】

病気やケガで会社をしばらく休む場合は、加入している公的医療保険(健康保険など)から「傷病手当金」を受けることができます。傷病手当金は病気やケガで3日以上連続して会社を休み、4日以降も仕事につけないときに受給可能です。1日あたりの支給額は【直近12ヵ月の標準報酬月額の平均額÷30日×2/3】で算出されます。年収400万円、標準報酬月額の平均が26万円だった場合は以下の通りです。

1日の支給額=26万円÷30日×2/3≒5,778円

たとえばケガで連続して30日間仕事を休んだ場合、支給される傷病手当金の合計額は、5,778円×(30−3)日=15万6,006円となります(3日間は「待機期間」のため支給されない)。ただし、傷病手当金は最長1年6ヵ月までしか受給することができません。

●病気やケガで離職した場合【失業保険】

病気やケガでやむを得ず仕事を辞める場合は、失業保険(雇用保険)を受けることができます。ただし失業保険を受給するには、離職するまでの過去2年の間に、合計12ヵ月以上(倒産や解雇の場合は1年間で6ヵ月以上)雇用保険に入っていることが条件です。1日あたりの雇用保険の金額(基本手当日額)は【直近6ヵ月間の賃金額の合計÷180日×給付率(50〜80%)】で算出されます。給付率は50%〜80%と幅がありますが、これは日額賃金が高い人ほど低くなります。これは、これまでの賃金の高さで給付金額に大きな差が生まれないようにするためです。年収400万円賞与なしで、過去6ヵ月の賃金合計が約200万円だった場合の受給額は以下のようになります。

基本手当日額=200万円÷180日×50〜80%≒5,500〜8,800円

ただし基本手当日額には年齢に応じて上限額が決められていて、30〜44歳の場合は7,570円が上限なので、実際は5,500〜7,570円の範囲内となります。これに28日分をかけた金額が月額となるので、月額手当はおおよそ15万4,000〜21万1,960円です。

失業保険を受けるには手続きから7日間の待機期間があります。さらに条件によって受給できる期間は決められており、基本的には最長でも離職した日の翌日から1年間です。なお病気などではなく自己都合で退職した場合は、給付制限期間も設けられており、待機期間からさらに3ヵ月間、給付を待つ必要があります。

■公的支援だけで今まで通りの生活を維持できる?

それでは、病気などで仕事ができなくなった場合も今までと同じ生活を維持するには、どれくらいのお金が必要になるのでしょうか?

まず病気やケガなどで長期的に仕事を休んだ場合、上でもご説明した通り、最長で1年半は傷病手当金を受けることができます。これを1ヵ月あたりの生活費の平均と単純に比較すると次の通りとなります。

傷病手当金15万6,006円−生活費17万6,000円=▲1万9,994円

生活費だけでも毎月2万円近くの赤字となりますが、加えて治療費が必要ですので、これまで通りの生活水準を維持するなら、貯金などに頼らざるを得ないと言えるでしょう。

赤字

さらにそのまま復職できず仕事を辞めた場合、条件を満たせば退職後も傷病手当金を受給可能です。ただし失業保険と同時に受給することはできません。このため、傷病手当金を受けたあとで雇用保険も受ける場合は、失業から1年以内に雇用保険の受給開始の延長申請をする必要があります(延長は最大3年まで)。ただしこれらの公的支援を利用したとしても、支援が受けられるのは2年6ヵ月までです。長期的に仕事に就けない場合は、別途障害年金などを受給しない限りは収入がなくなることになります。

■いざというときのために保険加入を検討するのもおすすめ

ここまで見てきたように、もしも働けなくなった場合、公的支援だけでは収入が不十分である可能性も考えられます。このような万が一のときに困らないよう、保険への加入を検討してみるのもいいでしょう。医療保険はもちろん、最近では「就業不能保険」という保険もあります。

就業不能保険とは保険期間中に病気やケガなどで一定期間以上仕事ができない状態になった場合、一定の金額を毎月受け取れる保険です。給付金額は月10万円、20万円など加入時に選ぶことができ、保険が満了するまで、仕事に就けない間は毎月給付されます。精神疾患など、さまざまな「働けない状態」に対応している保険もあります。働けない間も毎月一定額が受け取れるので、ひとり暮らしの働く40代女性にとって、いざというときの強い味方と言えるでしょう。


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