「資産運用」が注目されている現在、特に投資初心者には少額投資の税金が免除される「NISA」が人気な様子。金融庁や日本証券業協会の調べによると、口座開設数も年々増加しています。資産運用初心者にこそ知っておいてもらいたい、このNISAとはいったいどういったものなのか、やさしく解説します。
■NISAは2023年までの期間限定制度
NISA(ニーサ、少額投資非課税制度)は、少額投資を税制上優遇する制度のことで、2014年1月にスタートしました。NISAはもともと、イギリスのISA(アイサ、個人貯蓄口座)という制度をモデルに作られていて、NISAという名前もISAからきています。なおNISAは期間限定の制度となっており、投資可能期間は現状では2023年までとなっています。
■少額投資のためのNISAはどんなもの?
ここで、NISAの制度内容について少し詳しく説明しましょう。
●NISAならば約20%の税金が非課税
通常であれば、株式などに投資をして発生した利益には、20.315%の税金が課せられます。けれどNISA口座内で投資をした場合であれば、株式の売却益や配当金を受け取っても税金はかかりません。
たとえば120万円で購入した株式を1年後に140万円で売却し、20万円の売却益が出た場合、実際に手元に残る金額は以下のようになります。
通常の取引の場合:20万円−(20万円×20.315%)=15万9,370円
NISAでの取引の場合:20万円−0(非課税)=20万円
つまり、通常の口座とNISA口座での取引を比較すると、手元に残るお金は20万円と15万9,370円で、4万630円の差があります。
なおNISAにおける1年間の非課税投資枠、つまり金融商品を購入できる金額は120万円までと定められています。
●非課税期間は最長5年間
NISAでの取引が非課税になるのは、投資をしてから最長5年間と期間が定められています。たとえば2019年に、120万円で株式を購入したとしましょう。この場合、2023年までに得た配当金や株式を売却して得た利益は非課税です。
しかし5年目以降、つまり2024年以降に得た利益分には、通常通り税金が課せられます。もし2024年になってからこの株式を売却し、30万円の利益が出たとしたら、30万円×20.315%=6万945円分の税金の支払いが発生するわけです。
ただし5年の期間が終了する金融商品は、処分せず新たにその翌年の非課税投資枠に移すこともでき、これをロールオーバーと言います。
●非課税投資枠は翌年には持ち越せない
NISAでは、年120万円の非課税投資枠は翌年には持ち越せません。つまり120万円分の非課税投資枠は、その年のうちしか使えないということです。
たとえば2019年の投資額が80万円、2020年の投資額が160万円だったとします。この場合、2019年に余った非課税枠40万円と、2020年の過剰分40万円を相殺するということはできないというわけです。
■NISAの押さえておきたいポイント
上でご紹介した基本事項以外にも、NISAについて押さえておきたいポイントがいくつかあります。
●投資ができるのは2023年まで、2027年までは非課税扱い
最初にも少し触れましたが、NISAの投資可能期間は2023年で終了となっているので、金融商品も2023年までしか購入することができません。
ただし2023年のうちに購入した金融商品については、5年間はそのままNISAの制度が適用されます。つまり2027年まではそれまでと同様、非課税投資として扱われると考えましょう。
●NISAの口座は一人一口座まで
NISAはあくまで少額からの投資を優遇する制度なので、一人でいくつもの口座を作ることはできません。開設できるのは、一人一口座までと決められています。ただし口座を作る金融機関は、1年単位で変えることも可能です。
●全ての金融商品が対象ではない
NISAで購入できる金融商品は、種類が決められています。詳しくは下記の通りです。
【対象となる金融商品】
上場株式・株式投資信託・ETF(上場投資信託)・ETN(上場投資証券)・REIT(不動産投資信託)など
【対象とならない金融商品】
非上場株式・預貯金・公社債投資信託・債券・上場株価指数先物・FX(外国為替証拠金取引)・MMF・MRFなど
また、口座を開設する金融機関によっては、取り扱いのある商品とない商品があるので、最初に確認しておくといいでしょう。
■NISAで少額投資にチャレンジ
「まずは少しのお金での投資に挑戦してみたい」という投資初心者を税制面で応援してくれるNISA。資産運用を検討中の人は、期間が終了する前にぜひ検討してみてくださいね。