薬をもらう際に、薬剤師さんから飲み方や注意点を説明してもらうものの、いざ飲むときに忘れていることはありませんか? 「まあいいか」の服用が、薬の効果を下げたり体に負担をかけたりする場合も。今回は意外と知らない薬の正しい飲み方や、市販薬の注意点などについて見ていきましょう。
■意外と知らない薬を飲む際の注意点
まずは、薬を飲む際に注意したいことをピックアップしました。薬を飲むときに、間違った方法で飲んでいないか確認しましょう。
●薬を飲むときはコップ1杯の水またはぬるま湯で
薬を飲む際は、コップ1杯の水かぬるま湯で飲むのが基本です。水の量が少ないと、食道や胃などの粘膜に薬の成分がくっついて、炎症を起こす場合があります。また、ジュースや牛乳、コーヒーなど身近にあるドリンクと一緒に飲んでしまうと、薬の吸収や作用に影響が出る可能性もあります。たとえば牛乳の場合、カルシウムによって体への薬の吸収が遅くなり、効果が弱まることがあるようです。
●飲み忘れた薬を気づいたときにすぐ飲むのはNG
気をつけていてもつい、薬を飲み忘れてしまうことはあるかもしれません。しかし飲み忘れたからといって、気づいたときに飲んだり、2回分をまとめて飲んだりしてはいけません。多めに飲んでしまうと、血中の薬の成分が急激に上昇して体に負担がかかったり、薬の効き目が持続しなかったりします。忘れてしまった場合は、医師や薬剤師にどうすれば良いのか判断を仰ぎましょう。
●自己判断で服用をやめない
「もう治ったから」という理由で医師に相談せずに服用をやめていませんか? 自分の判断で服用をやめると、症状がぶり返したり、さらに悪化したりする可能性もあります。くれぐれも自己判断で、服用を中止しないでくださいね。
●古い薬はとっておかない
薬には使用期限があります。残ってしまった薬や使用期限の切れた古い薬は必ず捨てましょう。以前と同じような症状であっても、違う病気が隠れている可能性があるので、必ず医師の診察を受けて、新たに処方してもらった薬を服用してください。
●食べ合わせに気をつけよう
薬を飲む際の注意点でも紹介しましたが、ジュースや牛乳以外の食べ物や健康食品などとの相性にも気をつけなければなりません。薬の作用を変化させ、効き目に違いが出てしまう可能性があるからです。
■市販薬と病院で処方される薬はどう違う?
次に、市販薬と病院で処方される薬の違いについて見ていきましょう。
●市販薬は対症療法を目的としている
そもそも病院で処方される薬は、医療用医薬品で医師の処方箋や指示がないと使用できず、専門家によって管理されているものです。しかし市販薬は、自分の判断で選び購入ができます。そのため市販薬は、症状を和らげる対症療法を目的とし、根本的な治療は望めません。
●処方薬は成分の含有量が多め
市販薬は自己判断で購入できるので、有効成分の含有量を少なくしています。また、どんな症状にも対応できるように、幅広くさまざまな成分が含まれていることが多いようです。反対に病院で処方される薬は、成分の含有量が市販薬よりも多めになっている場合もあるので、自己判断で飲むのはやめましょう。
■子どもやお年寄りが服薬するときに注意したいこと
最後に、子どもやお年寄りが服薬するときに注意したいことを紹介します。
●子どもは薬が嫌で吐き出すことも
子どもは薬が嫌だとか苦いという理由で吐き出す場合があります。飲んですぐ薬を吐き出したのであれば、再度同量を飲ませましょう。30分から1時間ほど経っているのであれば、薬は体に吸収されているのでそのまま様子を見てください。
薬を飲まないからとジュースやミルクと混ぜて飲ませることもあるでしょうが、薬によっては味が変わってさらに苦みを増したり、薬の効能が弱まったりするので、薬剤師に確認してください。市販のオブラートや服薬ゼリーを活用するのも良いでしょう。
●お年寄りは必ず上体を起こして服薬しよう
寝たきりのお年寄りにありがちな事例で、寝たまま服薬する人がいます。寝たままだと食道が狭い状態なので薬が胃へ流れず、食道にとどまったり気管に入ったりすることがあります。そうすると、誤嚥性肺炎を引き起こす可能性があるので、上半身を起こして服薬してください。
また、年齢を重ねると唾液が少なくなるので、薬を飲みこむのが難しくなります。事前に水や白湯を飲んで口の中をうるおしたり、多めの水や服薬ゼリーを活用したりすると服薬しやすいでしょう。
最近は、口の中ですぐに溶けるタイプの錠剤薬もあります。必要に応じて薬剤師に相談してみると良いかもしれません。
■薬は用法用量を守って正しく飲むことが大切
薬の飲み方を間違えてしまうと、薬の効き目を下げるだけでなく体に負担をかけたり、根本的な病気の発見を遅らせたりする可能性があります。服用の決まりにはそれぞれに意味があるので、決められた通りに用法用量をきちんと守りましょう。飲みにくい薬も、ちょっとした工夫で飲みやすくできます。わからないことがあれば自己判断せず、医師や薬剤師に相談しましょう。