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2019/7/7

第5回 ライフイベントごとに必要なお金を考える

第5回 ライフイベントごとに必要なお金を考える

●「結婚」と「結婚式」に必要な費用は?

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前回までのお話で、住宅購入について、物件選びの視点から住宅ローンを組むときの考え方まで、とても勉強になりました。
今回は、結婚や出産、子育て、子どもの教育など、ライフイベントによって必要なお金、考えなければいけないお金の準備の仕方について、お伺いしたいと思います。

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もしもいま独身なら、直近で見えやすいライフイベントは結婚でしょう。
「挙式・披露宴など」にかかる費用は全国平均357.5万円。ご祝儀等を差し引くと自己負担は142.8万円という数値が出ています。(※1)
でも結婚式の費用は、基本的に前払いの式場が多いので、ご祝儀で清算はできず、カード払いなど、工夫が必要なケースもあります。理想的には2人合わせて300万円くらい持っておいて結婚式を挙げるとやりくりしやすいでしょう。ご祝儀でいただいたお金の残りは新生活の引越や家具等の資金に充てるとよいと思います。

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結婚というライフイベントでは、何をどこまで行うのかで費用に大きなズレが出てきます。
費用がかさみがちなのは披露宴。挙式だけで構わない、写真が撮れればOKということで、50〜60万円でミニマムに式を挙げるというカップルも増えています。
そう考えると、必要最低限の資金はグッと下がりますよね。

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●イベントの時期をずらせば費用もやりくりできる!?

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挙式&写真の時期と、披露宴(食事会)を分ける、新婚旅行も半年後等に行くというように時期をずらす、というのでも良いと思いますよ。
結婚のタイミングで引越もして家具も揃えて、と全部を同時に行うとコストが一気にかかりますが、イベントの時期がずれればなんとかやりくりできるのではないでしょうか。
結婚だけじゃなく、人生全体において、やりくりができればOKという考え方はアリです。お2人の事情に合わせ、イベントのタイミングをフレキシブルに考えて行えばよいと思います。

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今どきは、一緒に住むのが結婚より先の人も多かったりして、順番がマチマチですもんね(笑)

●出産、子育てに必要な費用は?

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結婚の次のライフイベントは、出産、子育てでしょうか。

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はい。地域別平均の出産費用(全国平均)は、「入院・産む」費用として50万円前後。(※2)
出産育児一時金は42万円(健康保険組合、国保から最低限出ると決まっている額)なので、出産費用を概ねカバーでき、「産む」単体で考えると自己負担費用は10万円前後くらいです。
国保は自治体ごとに制度が違い、例えば東京都港区では60万円まで実費は負担するという制度がありますし、お祝い金のような形で出す自治体もありますので、ご自分の自治体でお得な制度がないか、チェックしてみましょう。

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「産む」より「育てる」ほうがお金がかかりますよね。

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そうですね。子育て費用としては、大きく「養育費」と「教育費」がありますが、ココでは教育費について、見てみましょう。
小学校から大学までかかる教育費は、ずっと公立だった場合は約800万円。ずっと私立の場合は2,000〜2,500万円くらいかかります。(※3)

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実際の家計管理としては、どのように管理していくとよいですか?

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大学は、国公立で進んだ場合でも、4年間でまとめてドンと費用が必要になります。
しかも入学の初年度に100〜200万円、場合によっては、地方(県外)に出ることになると、そのための費用がかかりますので、大学の費用については、子どもが産まれたときから18年かけて、毎月1〜2万円貯めておくとよいでしょう。そうすると、200〜400万円貯まる計算になるので、それを原資に大学の費用にします。大学入学以降も収入があると仮定するなら、やりくりできるでしょう。
ちなみに、児童手当は、今の制度が変わらず満額受け取れると200万円くらいになるので、これを大学の費用に充当するのもよいと思います。

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高校までは、経済状況と進路を照らし合わせるということになるのかなと思います。
子ども1人に対して、養育費も含めると、だいたい年100万円くらいかかることになります。私立にいくかどうか、というのは、選ぶ学校によってもかなり違うので、自分の地域の私立に通わせるときに、1年間のやりくりができるのかということで考えるとよいと思います。
高校までは、月々や年間のやりくりで回せるかどうかを考慮しながら進路も判断、大学については18年かけて教育資金を準備するというのが基本方針で、管理がしやすくなりますね。

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★ライフイベントの費用明細はじっくりチェックしましょう!
結婚式の準備の際に、明細をじっくり見るのは良い勉強になると思います。
「出席者の食事は人数分なのに、引き出物の袋は世帯単位」「ケーキカットのナイフに付けるのが花かリボンで金額が違う」など、そのときにしか発生しない費目や謎も多い(笑)ので、明細を読み込んで、謎だったら訊ねるというのを結婚式でトレーニングするというのは良いことですね。
家を買うときにも、諸費用等々細かい費用明細を色々出されるが、何のための費用なのか、1つ1つ追っていくのが大事です。また、ライフイベントについては、地域によってもお金のかけ方は違うことが多く、平均の金額で話をすることが多いですが、実は振れ幅が大きいです。

<出典>

※1: ゼクシィ 結婚トレンド調査2018 調べ
※2: 公益社団法人 国民健康保険中央会
    「出産費用の全国平均値、中央値(様式1〜4)」
    「出産費用の都道府県別平均値、中央値(様式5)」
※3: 文部科学省
    「子供の学習費調査」
    「国立大学の授業料、入学料及び検定料の調査結果について」
    「私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人あたり)の調査結果について」
    ※小学校から高校までは学校給食費や学校外費も含む。


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◆風呂内亜矢氏(ファイナンシャル・プランナー)プロフィール◆

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®認定者、宅地建物取引士、全国銀行協会 金融経済教育活動懇談会委員
貯蓄80万円しかもたずマンションを衝動買いしたことをきっかけにお金の勉強を始め、2013年にファイナンシャル・プランナーとして独立。
テレビ、ラジオ、雑誌、新聞などで「お金に関する情報」を精力的に発信している。
『あさイチ』(NHK)、『有吉弘行のダレトク!?』(フジテレビ)などのテレビ出演のほか、NIKKEI STYLE『マネー研究所』、読売新聞『OTEKOMACHI』、東洋経済オンライン等でコラムも連載中。
著書は『ほったらかしでもなぜか貯まる!(主婦の友社)』『超ど素人がはじめる資産運用(翔泳社)』など多数。




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