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2019/4/22

第2回 住宅購入について-1 <物件選びの視点、適切な購入時期とは?>

第2回 住宅購入について-1 <物件選びの視点、適切な購入時期とは?>

●「購入動機」を整理し、2つの戦略のどちらかを決める

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家を買うとしたら、どんな視点で物件を選んでいけばよいのでしょうか?

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不動産を買いたい人に、いつもおススメしているのは、まず何故買いたいと思うのかを整理するということですね。
多分、「家賃が勿体ない」「子どもを走らせてあげたい」等々、要素は色々あると思いますが、その要素を、「住まいの居住性がどうか」という視点(実需的視点)と、「経済的な合理性があるどうか」という視点(投資的視点)の2つに分けるのがよいと思います。

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投資的な側面を満たすことと、実需的な側面を満たすことは、必ずしも一致しません。
たとえば、自分が住む物件だと思うと、マンションのブランド、仕様、設備、広さ等、付加価値的なものや、居住性の快適さに重きを置きがちです。一方、投資という観点で見ると、借りる人はできるだけ近くて家賃が安い方が嬉しいですから、安定して貸せる物件となると、設備がそれほど豪華じゃなくても良いし、広さを犠牲にしても、とにかく立地を重視という考え方が必要です。

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もし購入する物件が住まいであったとしても、ある程度経済的に合理的な判断をしたいなら、広さの優先順位を下げて、立地の優先順位を上げることができないか検討する必要があります。
一方で、自分の本来の目的は広いところに住むことである時に動機を見極めず、狭くて超好立地な家を買ったとしても、当初の広いところに住みたいというニーズは満たせません。そうした不一致をなくすためにも、「そもそも何故買いたいと思っているのか」という購入動機の優先順位を整理して、実需的な部分を大事にするのか、投資的な部分を大事にするのか決める必要があります。その比重がみえてくると、買う物件を絞りこんでいきやすくなります。

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なるほど〜♪

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住宅購入の戦略は大きく2つあります。
1)は超好立地だが、広さは妥協する戦略。
2)は広さなどの居住性を重視し、コストをシビアに考える戦略。
2の戦略で、広さや設備などの居住性にこだわる場合、予算をおさえるなら立地を妥協することになります。立地を妥協すると物件の取得額は大きく下げられる可能性がでてきますが、この場合、将来の資産価値の維持はあまり期待するべきではありません。あくまで高い居住性を現実的なコストで取得するための戦略です。そのため、費用感に無理がないかは慎重に判断する必要があります。
1の戦略は、住宅購入を人生1度の大勝負とは考えません。ずっと住むとも限らず、必要に応じて売却したり賃貸に出したりすることも考えます。資産価値が維持できなければ、この戦略をとれないため、立地へのこだわりが重要になります。 私は個人的に1の戦略が好みですし、近年の潮流(人口減少で物件の勝ち負け格差が広がる)や、一般的に失敗しにくい方法としても、1の方がオーソドックスだと思います。

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税金(固定資産税)も払わなくちゃならないから、売らないつもりだったら、評価額が下がったほうが嬉しいという場合もあるかもしれませんね。

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貸したり売ったりするのでなければ、再販価格が落ちても、本来は痛くもかゆくもないはずですね。その場所に住み続けられるということに価値を置いて、場所をちょっと遠くにすることで、購入価格を下げよう、と物件を選ぶのが2の戦略です。

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●買い時は自分の条件がそろう時。公的制度の改正にも注意!

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これから消費税増税、オリンピック開催など色々ありますが、いつ買うのが良いのでしょうか?

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消費税、オリンピックは外的な要因で、自分ではコントロールできないものです。外的な要因を少しは意識しつつも、自分の収入や家族の構成、将来転勤するか、とか将来どういう暮しをしていきたいか、といった自分のオリジナルの要因、内的な要因の条件が、ちゃんと揃うかのほうが大事ですね。いくら地価が下がっているときでも、自分が転職したてだったら、ローンを借りるのが難しくそもそも買えない、といったことも起こります。
前回の消費税増税のときは、消費税が上がる前に不動産の価格自体が上がってしまって、消費税が上がった後、値段が下がった物件もありましたから、慌てないほうがいいと思います。
今回は、消費税増税後、住宅取得における親などからの贈与の非課税枠は、700万円から2500万円に大幅アップ(〜2020年3月31日)します。親からの援助などが見込める世帯では、消費税10%になってから買うほうがよいケースもあるでしょう。
また、「住宅ローン減税が3年延長される」「住まい給付金が増額される」といった公的な制度の改正も色々ありますから、意外と消費税率そのものの影響は大きくないかもしれません。


◆風呂内亜矢氏(ファイナンシャル・プランナー)プロフィール◆

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®認定者、宅地建物取引士、全国銀行協会 金融経済教育活動懇談会委員
貯蓄80万円しかもたずマンションを衝動買いしたことをきっかけにお金の勉強を始め、2013年にファイナンシャル・プランナーとして独立。
テレビ、ラジオ、雑誌、新聞などで「お金に関する情報」を精力的に発信している。
『あさイチ』(NHK)、『有吉弘行のダレトク!?』(フジテレビ)などのテレビ出演のほか、NIKKEI STYLE『マネー研究所』、読売新聞『OTEKOMACHI』、東洋経済オンライン等でコラムも連載中。
著書は『ほったらかしでもなぜか貯まる!(主婦の友社)』『超ど素人がはじめる資産運用(翔泳社)』など多数。




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