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2019/3/25

第1回 家計管理の3つの視点

第1回 家計管理の3つの視点

●「家を買う」を実現するには、まずお金の勉強から!

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スビィくん

風呂内先生、ボク、近い将来家を買いたいと思っているんです。それで、お金について、何をどこから勉強すればいいのか、おしえてほしいんです。

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風呂内先生

いいですよ。「家を買う」って、お金のことを考えるのに良い教材ですね。 実は、私も26歳のときに、家を買おうと決めて初めてお金のことを真面目に考え始めるようになったんですよ。買うという気持ちが決まってから、諸費用がかかると知ったの。 諸費用は70万円。貯金全部で80万円しか持っていないのに。残り10万しかない。慌てて1年で160万円貯めました。その気になったら貯められるものなんですね(笑)

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へえ〜。お金の先生でも、そんな経験をされたこともあったんですね。
「家を買う」ことが、そんなに良い勉強の教材になるんですか?

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はい。購入物件選びから住宅ローン、税金とか保険まで、家計を見直してローンを返していくことを考えたときに、「家を買う」という1つのテーマを掘り下げていくと、あらゆる家計管理、ライフプランニングのすごく良い題材になるんですよ。
私の場合は、10万円を震えて握りしめながら、どうやってローンを返す原資を作るのか、引越しするまでにどうやってお金を生み出すか、真剣に考えざるを得なかったので、家計改善についてももちろん、保険、税金、その他もろもろについて、学ばざるを得なかったですね。
もともと素敵な生活をしたいと思って家を買うわけですから、素敵な生活に集中するために、お金の問題をクリアにしていくことが必要です。振り返ったり、勉強したり、対策を取ったりということにつながりますね。

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なるほど〜。素敵な生活を想像すると、勉強の意欲が湧いてきます!

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実家暮らしから独立しようと思って、3ヶ月後に建つ予定のアパートを賃貸契約していました。ところが、借りようとしたアパートの大家さんが「誰か」の連帯保証人になっていて、その「誰か」が夜逃げをしてアパートに入居できないことに。私にとっては初めての一人暮らしで大冒険。5-6軒内覧してやっと決めた部屋がダメになって、がっくりしていました。そんなときにチラシで入ってきた「アナタのお家賃と比べてみませんか」というその金額が、ダメになったアパートと同じ金額だったんですよね。
あのときの賃貸がダメになっていなかったら、家も買っていないかも。 不動産の人生における影響は大きいですね。

●「お金との上手な付き合い方」3つの視点

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今日、全部を一気に話すのは難しいですから、まずは「お金との上手な付き合い方」について3つの視点をご紹介しましょう。
家計を管理するのには、3つの視点を持つと良いと思います。
視点1)ライフイベントのような形で20〜30年のスパンで資金がショートするタイミングが無いか。
視点2)四半期(3ヶ月)に1回くらいのタイミングで、資産の推移という観点。去年よりも増えていたか減っていたか。
視点3)一番最後が日々の支出の管理。何にいくら使っていたか。
これら3つの視点のうち、まずライフイベントの視点を見て問題なければ概ねOKという考え方をすればよいと思います。でも長期の視点は見づらいので、おそらく一番見やすくて手軽にできるのは資産の管理です。資産がどのように推移して増えているのか減っているのかを管理するという視点で、そこに問題があったときに初めて支出管理まで考えていけばよいのです。

●家計改善は「資産管理」からスタートがおススメ

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え?! 最初に支出管理が必要なのかと思っていましたが、最後で良いんですね。

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一般的に、家計を改善しようとすると、「支出管理」から入りがちですが、最初から、日々とか月々単位で見るのではなくて、年単位、四半期単位の資産の管理からスタートするのが良いですね。一番おススメなのは、まず「資産管理」をして、問題があった場合に「支出管理」をするということです。
その2点において問題が無さそうなのに、なぜか不安を感じるという方は、「ライフイベント」というもっと長い20年30年のスパンで資金がショートするタイミングが無いかというところを見るのがおススメです。

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よかった! 家計簿付けてもお金が貯まるわけじゃないですもんね。

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家計簿を付けてもお金が貯まらないという実感を持つ人は多いですよね。 私自身も、慌てて1年間で160万円貯めた時、それ以前の6倍速で貯まった計算になりますが、その時って家計簿を付けていないんです。なので、自分自身も、家計簿を付けるとお金が貯まるとは思っていないし、貯まらない努力だったら、できればやりたくない(笑)
本当は、「資産管理」のほうが、取りまとめるだけですから、誰でも簡単にできるし、また興味も持ちやすい。「家にある資産額がいくらか?」は、支出を管理するよりは、細かい話にはなりづらいですし、それくらいならできる、と思える人も多いのではないでしょうか。
今なら家計簿アプリとかで複数の銀行口座を連携させることができますよ。私は「今いったい家計全体にいくらあるのか」ということだけは、ほぼ毎日ログインして見ています。

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資産を棚卸して、その増えっぷりに満足がいかないとか、もうちょっと増やしたいと思うのであれば、そこで初めて支出を見直す「支出管理」にいけばいい。あるいは、微増だったらまだしも時期によっては減っている人もいるので、そうなったときに初めて、減る大きな要因になっているものは何なのかを見ることが重要です。
振り返ってみると、意外に日々のお買い物よりは、半年毎の旅行や帰省など、大きなお金の使い方が、「資産管理」の観点で家計にダメージを与えていることがあります。そんな時には、日々のパターンはそのままで、特別費の使い方を見直すとか、特別費の大きな買い物を、例えば毎月分割でお金を準備するなどして払うようにすると、意外と改善できる可能性があります。

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わかりました! 棚卸しするほどの資産なんか無いけど、銀行の口座ならいくつか持っています。しばらく残高を確認していないのもあるので、早速確認してみます。

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より手堅い、安心感を得たい人におススメなのは、長期的な目線で自分が何歳のときにどういうライフイベントが起こり得て、資産がどのように推移するか見通しを立てるという視点です。ライフイベントに応じて資産が大きく減ったり増えたりということを繰り返しても、貯蓄がまったくゼロや赤字に転落する瞬間が無ければ、ひとまずセーフかなという視点です。人生全体でみると、お金のことは、帳尻が合っていれば、概ねOKなのでは? という考え方はすごく大事ですね。

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残高と入りと出だけ、足し算とか掛け算、引き算だけで、ある程度の見通しができるものなので、これを続けた場合にショートするタイミングが無いとか、ショートするタイミングを120何歳くらいまで延ばせないのか、みたいな観点がすごく大事になります。

次回2回目以降では、それぞれをもう少し掘り下げて説明していきましょう。


◆風呂内亜矢氏(ファイナンシャル・プランナー)プロフィール◆

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®認定者、宅地建物取引士、全国銀行協会 金融経済教育活動懇談会委員
貯蓄80万円しかもたずマンションを衝動買いしたことをきっかけにお金の勉強を始め、2013年にファイナンシャル・プランナーとして独立。
テレビ、ラジオ、雑誌、新聞などで「お金に関する情報」を精力的に発信している。
『あさイチ』(NHK)、『有吉弘行のダレトク!?』(フジテレビ)などのテレビ出演のほか、NIKKEI STYLE『マネー研究所』、読売新聞『OTEKOMACHI』、東洋経済オンライン等でコラムも連載中。
著書は『ほったらかしでもなぜか貯まる!(主婦の友社)』『超ど素人がはじめる資産運用(翔泳社)』など多数。




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