マイホームを購入したら、忘れてはならないのが「住宅ローン控除」。これは住宅借入金等特別控除という制度の通称で、ローンで家を購入した場合に一定割合の金額が税金から控除される制度です。これを活用するためには確定申告が必要。でも「確定申告なんてしたことない……」という人には、ハードルが高く感じるかも。申請漏れでせっかくの控除が受けられないといったことがないように、住宅ローン控除と確定申告について確認します。
■住宅ローン控除とは何?まずは概要をチェック
住宅の購入や増改築をする際に組んだ住宅ローンは、税額控除の対象となります。正式名称は「住宅借入金等特別控除」で、住宅ローンの年末残高をもとに算出した金額を、その年の所得税額から差し引けるという制度です。控除を受けるには次の条件を満たす必要があります。
◇新築住宅と中古住宅の共通条件
・居住期間:住宅の取得から6ヵ月以内に居住し、適用年の年末まで住んでいること。
・所得金額:控除を受ける年の合計所得が3,000万円以下。
・住宅面積:住宅床面積が50平方メートル以上あって、そのうち半分以上が自分の居住用であること。
・返済期間:住宅ローンを返済する期間が10年以上であること。
・その他:住み始めの年とその前後2年間に、マイホームを売って長期譲渡所得の課税特例を受けていないこと。
◇中古住宅の固有条件
・築年数が以下の規定年数以内
1.「耐火建築物」(鉄筋コンクリートなど)の場合は築25年以内
2.「耐火建築物以外」(木造など)の場合は築20年以内
・耐震レベルが以下の基準を満たしていること
1.耐震基準適合証明書の取得
2.耐震等級1級以上の住宅性能評価書の取得
3.既存住宅売買瑕疵保険への加入
これらを満たし、マイホームを購入した1年目に確定申告すれば居住年から10年間、住宅ローン控除の制度が適用されます。
また消費税増税の関係で、2019年10月1日〜2020年12月31日までに引き渡しされる建売住宅とマンション、2019年4月1日以降の契約で2019年10月1日〜2020年12月31日までに引き渡しされる注文住宅に関しては、控除期間が13年間に延長されることが決定しています。
■1年目の確定申告はどのようにすればいいの?
「確定申告なんてしたことない……」という人もいるでしょう。そんな人のために簡単に確定申告の期間や申請方法を紹介します。
(1)申請期間
毎年、2月16日から3月15日頃までが確定申告の期間になりますが、土日と重なると日にちが多少前後する場合も。期間中は地域ごとに申告会場が開設され、相談スペースなどが設けられます。ちなみに住宅ローン控除のような還付申告は、1月1日から提出可能です。
(2)提出書類
住宅ローンを組んだ初年度の確定申告では、税務署や国税庁のホームページにある確定申告書の他、以下の書類を用意しましょう。
○源泉徴収票
○住民票の写し
○住宅借入金等特別控除額の計算明細書
○住宅ローンの年末残高等証明書
○家屋の登記事項証明書、請負契約書や売買契約書の写しなど
また、家屋だけでなく敷地もローンで購入した場合は、敷地の登記事項証明書と売買契約書の写しなども必要です。この他にも条件によっては、耐震基準適合証明書の写しや認定長期優良住宅の通知書の写しなどが必要になる場合もあります。
(3)申請場所・方法
書類を用意して、確定申告書を記入したら準備は完了。1月1日の住所地の税務署に用紙を直接提出しにいきましょう。「なかなか休みがとれないよ…」という人は郵送で提出することもできます。e-taxを利用して電子申告することもできますが、これには事前申請が必要です。
■2年目以降は年末調整で適用される
住宅ローン控除は、1年目に確定申告を行えば、2年目以降は年末調整で処理してもらうことができます。そのため、2年目以降は確定申告をする必要はありません。ただし2年目以降は、金融機関から送付される「残高証明書」と、税務署から送られる「年末調整のための住宅借入金等控除証明書」を会社に提出する必要があります。よって、これらの書類を紛失しないように注意しましょう。
なお、住宅ローン控除は原則として所得税から差し引かれますが、人によっては控除額が所得税額を上回って全額を控除しきれないこともあります。その場合は、前年分の所得税で控除しきれなかった金額を、翌年の個人住民税から控除することができます。これは自動的に差し引かれるので、初年度の確定申告さえきちんとしていれば、住民税控除の申請を改めてする必要はありません。
■具体的にどのくらい控除されるの?
具体的な例を見てみましょう。
Aさんは年収400万円(所得税8万円、住民税17万円)で、 2,500万円の住宅ローンを組み、新築住宅を購入しました。最初の1年ですでに50万円を返済していて、年末時点のローン残高は2,500万−50万=2,450万円です。住宅ローン控除の控除率の限度は年度末の住宅ローン残高の1%と定められています。Aさんの場合の住宅ローン控除限度額は2,450万円×1%=24万5,000円となります 。
ただし、住宅ローン控除限度額24万5,000円がすべて控除されるわけではありません。所得税の8万円はそのまま差し引かれますが、住民税には課税総所得金額等の7%(ただし13万6,500円まで)という上限が設けられているからです。そのためAさんの場合、所得税と住民税から差し引かれる合計額は、最高で8万円+13万6,500円=21万6,500円。つまり、この年は21万6,500円を控除できることになります。
このように、その年の状況に応じた税額控除を最長で10年間受けられます。1年間で控除限度額は40万円なので、10年間なら最大400万円分も節約することができるのです。
税制措置期である2019年10月1日〜2020年12月31日に入居し、プラス3年間の税額控除を受ける場合も計算してみましょう。
1. 建物価格の2%×1/3
2. 10年目までと同じ計算方法により算出された額
追加控除となる3年間の金額は1か2の額の少ない方が採用されます。たとえば購入した住宅の価格が3,000万円で、11年目の年末の住宅ローン残高が1,000万円だった場合、
1の計算方法だと3,000万円×2%×1/3=20万円となり、1年あたり20万円
2の計算方法だと1,000万円×1%=10万円
「1>2」なので2が採用されて、11年目は10万円の控除、12年目、13年目も各ローン残高に応じた控除が受けられることになります。仮に11年目年末の住宅ローン残高が2,500万円で「2>1」の控除額だった場合は、11年目以降の3年間で最大60万円の控除を受けることが可能です。
■マイホームを買ったら必ず確定申告を
家をローンで購入する場合は、住宅ローン控除の条件を満たしているかどうかを必ずチェックしましょう。条件を満たしていれば、確定申告をすることで納める税額を減らすことができます。
自分が住宅ローン控除を受けられるのか、確定申告をどうすればいいのかなどは、税理士などの専門家に相談するのがおすすめです。SBI生命の保険契約者・被保険者であれば、「安心健康サービス」を利用して、税金に関する相談を無料で受けることもできるので、ぜひ活用してみてくださいね。