「株主優待」という言葉、聞いたことはあっても実は内容をよくわかっていないという人もいるのでは? 株主優待は、所定の株数以上を保有していると企業から贈呈される優待サービスのことで、割引券や豪華な旅行券などが手に入ることも。今回は、知ってトクする「株主優待」についてご紹介します。
■「株主優待」とはどんな制度?
まず、株主優待とはどんな制度のことなのかを見ていきましょう。
●株を一定数持っていると商品やサービスがもらえる
株主優待とは、企業が自社の株を保有してくれている株主に向けて、自社製品やサービスなどを贈る制度です。最近では、お米やクオカード、カタログギフトや食事券など優待品の種類も豊富になっています。
企業によって優待を受けるために必要な株式数は異なりますが、100株で優待を受けられるものも多く、中には継続保有年数が長いとさらに優待内容が優遇されるものもあります。
●上場企業の約4割が導入している
日本の企業の多くは株主優待制度を導入しており、その数は2019年時点で上場企業の約4割にものぼります。近年では優待制度を新設する企業が増加傾向にあるため、今後も増えていくことが期待されるでしょう。
●企業側は「個人株主=ファン」増加というメリットも
株主優待は、投資家だけでなく企業側にもメリットがあります。株主優待を贈ることで企業のファンになってもらうことができ、自社のアピールにもなります。また、安定株主を増やすことで株価の安定や、ほかの企業から買収されるのを防ぐといったメリットもあります。
■どうすれば優待品をもらえる?
株主優待をもらうためには、まず権利確定日に一定の株数を保有しておく必要があります。権利確定日とは、株主として配当金や優待などをもらう権利が決まる日のことです。権利確定日や必要株数は企業によって異なるため、事前にチェックしておきましょう。
また、権利確定日の2営業日前に保有しておく必要があり、権利確定日当日に株を買っても優待は受けられません。例えば、31日が権利確定日の場合は、2営業日前の29日には購入しておく必要があります。
■株主優待企業の株を持つときの3つの注意点
魅力的な株主優待の制度ですが、もちろん注意点もあります。ここではどのような点に気をつけたら良いのかを見ていきましょう。
●人気の株主優待は権利確定日後に株価が下がることも
株主優待を実施している銘柄の中には、優待前に株を買いたい人が増え、株価が上昇するものも少なくありません。その後優待目当てで保有していた株主が権利確定後に売却することも多く、株価が下がってしまうことも。自身が購入した金額よりも株価が下がってしまう可能性も念頭に置いておくと良いでしょう。
●株主優待が突然廃止・改悪される場合もある
株主優待は企業側の好意による贈り物のため、優待を強制する法的な義務はありません。そのため、ある年にいきなり廃止になることや、サービス内容が改悪になる可能性もあります。
●優待品は2〜3ヵ月後に届くのが一般的
株主優待が手元に届くのには、権利確定日から少し時間がかかります。一般的には、2〜3ヵ月かかることが多いそう。また、株主優待が多い3月の場合は、7月頃に届くこともあるため、気長に待ちましょう。
■NISAを使えば非課税で株式投資できる
NISAは、株主優待銘柄にも投資ができます。最後にNISAを使った投資のメリットを見ていきましょう。
●NISA口座なら株式投資も非課税でできておトク
「NISA」という言葉を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか? NISAは、税制優遇が受けられる制度のひとつです。譲渡益や配当金に通常かかる約20%の税金が非課税になるため、利用するとおトクに投資ができます。
毎年120万円まで非課税で投資ができ、非課税期間は最長5年間です。投資先は投資信託や株式などさまざまですが、株主優待が受けられる企業への投資も可能です。
●値下がり、上場廃止のリスクもあるので少額から投資を
株式は、すべての企業に値下がりや上場廃止のリスクが伴います。株主優待を受けられるからといって、いきなり多額を投資に回すと株価が下がったときや、上場廃止になったときに金銭的にも精神的にもダメージが大きくなるでしょう。
NISAなら非課税投資枠が決まっているので、投資ビギナーはその制限の中で、お気に入りの株主優待を探したり、税優遇を受けたりしながら少しずつ投資に慣れていくといいでしょう。
NISAについてもう少し詳しく知りたい人は「第10話 投資初心者こそ注目したい! 期間限定で人気のNISAってどんなもの?」もご覧ください。
■株主優待をスタートさせて暮らしを豊かに
株主優待は、ビールやお米などの食品から、タオルやおもちゃなど実用的なものまで内容はさまざま。中には優待限定商品などプレミア感が味わえるものもあります。ぜひ、おトクな株主優待生活をスタートさせてみてくださいね。投資初心者は、税の優遇が受けられるNISA口座で少額からはじめてみるのがおすすめです。
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