在宅医療とは / 在宅医療のいま、そしてこれから

在宅医療のいま、そしてこれから

外来、入院に次ぐ第三の医療として注目を集めている「在宅医療」。
加速する高齢化社会の到来とともに、その認知度や必要性は日々高まっています。
では、実際にどんな人に適していて、どのように行われているのか。そんな在宅医療のいまをご紹介します。

城谷典保医師

城谷典保医師

医療法人社団鴻鵠会理事長・医学博士
一般社団法人日本在宅医療学会理事長
消化器がんを中心とした外科医療に従事し、東京女子医科大学病院で長年、在宅静脈栄養法・在宅経管経腸・在宅緩和ケアで在宅医療支援を行う。現在は月に250人の患者の訪問診療を行う在宅医療の第一人者。

長期入院から在宅医療の時代へ

長期の入院が難しくなっていくことをご存知でしょうか。少子高齢化が進む日本では、入院する患者さんが増えていくのに対して、病院のベッドは増加しません。そのため急性疾患などは治療するが、長期の療養が必要となる慢性疾患などに関しては別の場所で、という病院の機能分化が進んでいます。その一方で、自宅で最期を迎えたいという希望を持つ方がたくさんいます。つまり、これから増えるであろう長期入院が必要な患者さんの受け皿、また理想の最期の迎え方として、自宅で療養を行う在宅医療が注目されているのです。

向き合うのは、その人と家族の人生

在宅医療が向き合っているもののなかに終末期ケアがあります。当然のことですが、患者さんとその家族のご意向を大事にしますので、療養期間も人それぞれ異なります。一日でも長く生きることを望む方もいれば、もう充分に人生を過ごしてきたという人もいます。人生の最期をどうやって迎えるか。家族に囲まれ、人間らしい生活の中で療養を行なうことができる在宅医療は、そういった意味でも非常に大きい意義を持っています。
「いざ在宅医療をするとき大事なのは、患者さんだけでなく、その家族も支えること」と日本在宅医療学会の理事長である城谷典保医師は語ります。 たとえご本人は覚悟されていても、家族の不安は少なくないケースは数多くあります。そのため医療従事者が電話をして近況を聞いてみるなど、家族の心のケアを意識しながら、患者さんと関わっていくこともできます。それが在宅医療の特徴のひとつです。

地域に仮想病院空間を

在宅医療を必要な人すべてが受けられるわけではありません。城谷医師は「自宅、そして地域で患者さんを支えることができる環境が必要」と語ります。 たとえばICTやクラウド型サービスの発達で、離れていても多職種の連携が簡単になりました。また、病院にある心電図のような生体モニターなども、技術の進歩でコンパクトになっているため、患者さんの家に置くことができます。従来は病院で治療していた人を、家にいながら24時間365日チームで支えていく。そんな仮想病院空間を地域に実現することが、在宅医療の未来の姿です。

在宅医療の未来

 これからますます必要性が高まる在宅医療ですが、たとえ高度な医療機器があったとしても、患者さんから離れた場所で的確な診断をすることができる経験と実績、そして現場のセンスが医師に必要とされる難しさもあります。
 ただ、城谷医師は「在宅医療は医者冥利につきる」と語ります。人の旅立ちや最期のステージをつくることができるのは、医者だけ。また、家族の中に入り、濃厚に付き合っていくことも多く、そういう信頼関係を持つことにやりがいを感じ、在宅医療をはじめる医師も、いま増えているそうです。
 「在宅医療は、最先端医療」と城谷医師は言います。少子高齢化社会になる国はこれから増えていくため、在宅医療にはニーズがあります。この医療のインフラを日本から世界へ輸出する。そんな日も近いかもしれません。

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